3月30日 印旛沼

シンプルに田舎。田舎の綺麗な景色の中をシンプルに歩いている。シンプルに心地よい。愉快。「無人の開けた視界」が東京から1時間半の所にあったとは。観光客のために用意された場所ではない、普通の民家の間などを歩いた。

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前を舞う紋白蝶が春を感じさせる。名実ともに春が来た。囀る鳥の在処を探すなど、気ままに歩く。鶯もどこかで鳴いている。

 

下総松崎駅から1時間歩いたが、まだ沼を目にすることができない。沼の周りは川に囲まれており、陸続きの場所も有刺鉄線や柵で封鎖されていた。行き止まりにぶつかると広大な視界は一転途方の無さを演出し、カフカの『城』ばりのもどかしさや失望を感じた。来た時間も遅いので、2個目の柵にぶつかった時点でそれ以上の開拓を諦め、引き返すこととした。沼にアクセスできる場所は限られているらしい。引き返す途中、青い鳥が2羽いた。

 

元々曇りがちだったが、いよいよ太陽が隠れてしまった。辺りは薄暗く肌寒く、濃霧の森のような憂が出て愉悦を削いでしまった。駅を出てすぐ思ったことが「空気がうまい」ことだったことを思い出し、マスクを外した。同時に思い出したのは、鳥がスローに滑空して枝移りしていたことである。何も無い街だが、何も無くて良いのである。ヒトがいなければ囀る鳥がいるのだから。